生まれ変わる香大医とともに:医学部長ブログ

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私の研究 ②:チーム・ドルフィンの紹介(その2)、よい週末を!

私は現在、自分自身で3つの研究プロジェクトを実施しております。① JAXAとのコラボ、② チーム・ドルフィン、③ 治療ワクチンの開発ですが、昨日より「② チーム・ドルフィン」の研究プロジェクトについて紹介させていただいております。関連記事はこちらです。

https://nishiyama-akira.hatenablog.jp/entry/2023/12/20/091757

写真:美ら海水族館で研究する際の常宿近くの浜辺の風景、伊吹島をのぞむ夕暮れ

 

「イルカの研究をできれば、ステキな研究ライフになるのでは?」との思いつきだったのですが、念願叶って2018年に初めて日本大学の鈴木教授に美ら海水族館に連れて行っていただきました。その数日間は夢のようで、研究を始めたばかりの頃に感じていた「わからないことを解明する楽しさ」を思い出す非常にエキサイティングな日々でした。鈴木教授や美ら海水族館の植田先生に一つ一つ教えていただきながら私なりに何ができるのかを模索しましたが、飼育イルカのコホート研究と加齢性変化の2つ思いつきました。まずはコホート研究ですが、美ら海水族館のたくさんのイルカは毎月血液検査による健康診断が行われており、データはすべて記録され、残存血液も保存されているとのこと。これを整理してデータベースを作るプロジェクトを成功させれば、世界初の飼育イルカコホートになるのではないかと考えました。ちょうど、カルテも電子化されたところでしたので、過去の紙カルテデータを電子カルテに入力したり、漁港倉庫の冷凍庫に保存されている血液サンプルや死亡した際の病理検体を整理したりすることを続けています。これには香大医の留年生たちが大活躍で、初代:草野くん、二代目:岡田さん、三代目:谷光くん、四代目:後藤くんと長期滞在して作業を続けてくれており、だいぶ形になってきた感じです。このような膨大な作業を香大医が中心となって進め、構築したコホートを使用して研究を進めることができれば、美ら海水族館の飼育イルカの様々なデータを解析することができ、他の水族館とも情報を共有することにより、イルカの健康に資する研究の世界の中心になるのではないかと思っております。

写真上:美ら海水族館の大プールのジンベイザメ「ジンタ」くん

写真下:バックヤードで「ジンタ」くんを上からパチリ

 

もう一つが、イルカの加齢性変化です。なんと、飼育イルカも寿命がここ20年で2倍近くになっているとのこと。人間と同じように、癌も含めた様々な生活習慣病や加齢による身体変化が出てくるので、治療やケアが大変と伺いました。そこで、私は加齢による老化腎を中心に、がん、他の疾患をターゲットとして研究を進めることにしました。このうち老化による腎臓病のメカニズムを解明した研究は、世界でも多くの注目を集めました。この詳細につきましては長くなりましたので、また来週。

良い週末をお過ごしください!