先日、今年から香大医の客員教授をお願いしております石川秀樹先生にお越しいただき、香大医・医学科6年生の消化器内科講義で特別講演をいただきました。石川先生は消化器・神経内科学の小原教授と内視鏡治療で共同研究を実施されており、今回は小原教授の発案で、学生さんに対して最新の情報を学ぶ機会をいただくことが叶いました。

写真:たくさんの学生さんが真面目に集まっています

写真:小原先生からの石川教授ご紹介です。石川先生は全国で医学生に講義をされているそうですが、6年生に対する講義は生まれて初めてとの事でした。
小原先生の紹介でもありましたが、石川先生は「ザ・臨床研究者」で、癌に対する新しい治療法の開発のためにAMEDや厚労省の医師主導型臨床研究をいくつも手がけられております。ご自身でそのためのシステムを運営されているほどです。私も10年ほど前から石川先生に大変お世話になっておりますが、少し私と石川先生の出会いを紹介させていただければと思います。
私は生活習慣病を主に研究しており、癌の研究はしたことがなかったのですが、最近は癌の治療ワクチンを私の飲み友達である大阪大学医学部・中神先生と開発しております。詳細はまた別の機会にお話ししたいと思いますが、私がこれまで研究をしてきたATP6ap2という分子をターゲットにしたワクチンで、とにかくマウスを使った実験では非常に効果が高いデーターが出ておりました。そこで、どの癌に対してこのワクチンを臨床開発していくのかについて、築地の国立がんセンターの中神先生の知り合いの先生に二人でお話しを伺いに行きました。しかし、そこで受けたご意見は大変ショックで、「癌の治療をワクチンでするのは時代遅れで、どの医者も興味を示さないだろう」というものでした。理由としましては、癌に対するワクチン療法のすべての臨床開発が失敗に終わっているからというものでした。正直、私は「あぁ、これでもう私のワクチン研究は終わりだな」と思いました。
国立がんセンターで完全に打ちのめされ、香川に新幹線で帰ることにしました。中神先生とは新大阪まで一緒です。ビールを買って新幹線・居酒屋でのやけ酒、「癌をターゲットとしたワクチンは厳しいなんて知らなかったよね、、、」などと言いながらビールを飲んでいた時に、ふと中神先生が「何か他の疾患に使えないかなあ?」とおっしゃられました。そこで、我々がターゲットとしているATP6ap2が関与する分子機序に関係するような疾患をネットで探しみたところ、ヒットしたのが家族性大腸ポリポーシスでした。「じゃぁ、日本で誰がこの疾患を1番よく治療されているんだろうか?」という話になり、ネットで検索すると石川秀樹先生の名前が浮かび上がってきたのです。そして、石川先生が大阪で診療されていることを知り、その場で電話すると、その日の診療の後にアポイントメントをいただけることになりました。
私達は大阪で途中下車して石川先生のクリニックに直行し、診療が終わられるのを待って、私達のワクチンのコンセプト等について説明する時間をいただきました。石川先生はじっと一通り私たちの説明を聞いてくださり、最後に一言だけ、「串カツはお好きですか?」とおっしゃっていただきました。「もちろんです!!!」と私達は即答、その後、石川先生の行きつけの串カツ屋でおごっていただきながら、「家族性大腸ポリポーシスの患者さんを救うために、ぜひ開発を進めてください。臨床的なところは、私が全てサポートしますから。」と言っていただけたのです。
あれから10年、香川大学で初めてAMEDのACT-MSという探索研究の大型の研究資金をいただけることになり、その後、AMEDの橋渡し研究シーズpreB、そして、昨年度からはシーズBのサポートを受けて、非臨床試験を進めています。石川先生には、患者さんを対象とした医師主導型治験の準備を担当していただいており、将来的には臨床研究をお願いするつもりでおります。
https://www.med.kagawa-u.ac.jp/topics/other/5b/

写真:先日の講義の後にゆっくりとお話を伺うことができました。
石川先生からは、「西山先生、患者さんは待ってるんですから、チンタラ基礎研究してたらダメですよ」と、いつも叱咤激励を受けています。おそらく小原先生も同じような激励を受けていると思いますが、今後とも末長く、香大医に対する教育、そして研究のご指導をどうぞよろしくお願い申し上げます!!!