今週は第4回医学科同窓会・讃樹會の関西支部会のレポートがメインでしたが、最後に臨床心理学科の国家試験を受ける学生を激励をしてきましたので、そのレポートをさせていただきます。
香大医には、現在「医学科」「看護学科」「臨床心理学科」の3つの学科があります。最後に設置された「臨床心理学科」ですが、医学部の中にあるのは全国的にも珍しく、香大医の大きな特色となっています。医師や看護師と並んで、心のケアを専門とする臨床心理士を目指す学生たちが同じ学部で学び、互いに知識を共有しながら成長していく環境は、将来の医療の在り方を考える上でも非常に意義深いことだと感じています。また私は、3つの学科が一緒に学び合うことで、新しい学問領域が生まれるのではないかと期待しています。実はすでに学際的な取り組みを進めており、現在、東京芸術大学と共同で「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業 (J-PEAKS)」を3学科で進めています。医療の現場では患者さんの心のケアがとても大切ですし、芸術が持つ癒しの力や創造性は、医療や心理学の分野とも深く関わってきます。例えば、音楽やアートを活用したセラピー、病院の空間デザインによる心理的な影響の研究など、医学と芸術を組み合わせた新しい分野が生まれつつあります。こうした新しい試みが将来どのような形で発展していくのか、私自身とても楽しみにしています。

資料:香川大学が3学科で実施している東京芸術大学とのコラボレーション
また、来年度からは、3学科の学生たちが一緒に参加できる研修プログラムを企画しています。その舞台となるのは、香川県の五色台(ごしきだい)です。医学科の卒業生の方は、入学してすぐにみんなで泊まりがけ研修したのを覚えておられることと思います。五色台は、瀬戸内海を望む自然豊かなエリアで、研修では医学・看護・心理のそれぞれの視点を活かしながら、グループワークや実習を行う予定です。普段の授業とは異なる環境で学ぶことで、学生たちの視野が広がり、新しい発見や気づきが生まれることを期待しています。異なる専門分野の学生たちが交流し、お互いの考えや価値観を共有することで、将来の医療においてより良いチームワークを築いていくきっかけになればと考えています。

写真:臨床心理学科・大学院修士課程の研究発表会にお邪魔しました。現在、臨床心理学科に特化した後期博士課程も設立することができるよう、活動を続けております。この領域は診療のみならず、あらゆる社会活動に非常に重要であると考えておりますので、香大医の大きな目玉になるものと期待しております。
さて、臨床心理学科では、多くの学生が「臨床心理士」を目指しています。臨床心理士の資格を取得するには、臨床心理士養成に関する指定大学院、臨床心理学専攻(コース・領域)を修了し、所定の要件を充たす必要があるとされています。そのため、4年間の学部課程を終えた後、さらに2年間、専門職大学院(修士課程)で専門的な教育を受ける必要があります。そして、その後にようやく受験資格を得ることができます。また、国家資格である公認心理師の受験資格も有するため、多くの卒業生は2つの資格を持つことになります。
今年度は11名の学生がこの試験に挑戦する予定で、みなさん、日々勉強に励んでいます。先週に「修士研究発表会」が行われ、11名の学生が自分の研究成果を発表されましたので、ささやかな差し入れを用意しました。今回は、医学科の学生に渡したものと同じシリアルバーと入浴剤を選びました。シリアルバーは試験勉強の合間に手軽に栄養補給ができるので便利ですし、入浴剤は試験前の緊張を和らげるのに少しでも役立てばと思ってのことです。みなさんが少しでもリラックスして、実力を十分に発揮できるよう願いを込めてお渡ししましたが、果たして喜んでもらえたでしょうか?試験はプレッシャーも大きいですが、これまで努力してきたことを信じて、全員が無事に合格できることを心から祈っています。
こうした活動を通じ、香大医は学生さんたちが実際の現場で役立つ力を身につけられるよう、教育や研究を工夫しながら進めてまいります。医学・看護・臨床心理という異なる分野の学生たちが、それぞれの専門性を活かしながら学び合い、協力し合うことは、今後の医療や福祉の未来を考える上でも非常に重要です。これからも、こうした学びの場をさらに充実させ、より実践的で意義のある教育を提供していきたいと考えています。今後もさまざまな挑戦を続けながら、より良い教育と研究の場を作っていけるよう、努力を重ねていきたいと思います。ちなみにですが、私が顧問を務めるウィンドサーフィン部の現在のキャプテンも臨床心理学科の学生さんです。

写真:シン・実習棟が姿を現しました!!手前が法医解剖室、奥が解剖実習室となります。最新施設の解剖実習室と様変わりいたします。
それでは皆さん、良い連休をお迎えくださいませ!
最近、国立大学への運営費交付金が少しずつ減ってきており、香川大学医学部の財政もなかなか厳しい状況になっています。そのため、私たちは学生の教育環境をより良くするために、皆さまのご支援をお願いしております。
いただいたご支援は、医学部の学生がより充実した学びを得られるよう、教育活動のサポートに活用させていただきます。例えば、最新の医療機器を使った実習や、地域医療を担う人材を育てるためのプログラムの充実など、未来の医療を支える若い世代の成長に役立てていきます。
香川大学医学部は、「地域に根ざし、世界に羽ばたく医療人を育てる」ことを大切にしています。そのためにも、皆さまの温かい応援がとても力になります。「未来の医療を支える学生たちのために、一緒に応援しよう!」そんな気持ちでご協力いただけると嬉しいです。
詳しくは、以下のホームページをご覧ください。どうぞよろしくお願いいたします!https://www.med.kagawa-u.ac.jp/~redevelop/index.html
