教職員紹介シリーズ 北田研人先生(医学科薬理学・助教)

今日紹介するのは、私が担当する香大医の医学科・薬理学の大黒柱、北田研人助教です。北田先生は大阪薬科大学修士課程を卒業後、身一つで私のもとに後期博士課程(いわゆるドクター)大学院生として来てくれました。薬理学に来てくれた大学院生で社会人ではない日本人は、後にも先にも北田先生のみですので、彼を一流に育てることが私の教授としての最重要課題となりました。

北田先生が米国の学会での口演発表デビューした時のこと、我々の領域では超重鎮のドイツのルフト先生が、北田先生の発表が終わる前にマイクの前に質問に立たれ、「私がバカなのかもしれないが、君の言っていることがさっぱりわからん」とボロクソ言われたり、共に悔しい思いをしてきましたが、懸命に研究に励んで成長されていきました。大学院卒業後は、共同研究を進めていた東大・宮崎教授の元にポスドクとして国内留学させましたが、その研究はNature MedicineにFirst authorで発表されるに至りました。その後、本人が強く希望していた留学を果たすため、以前のブログで紹介しましたDUKE大学NUSのCoffman医学部長(https://nishiyama-akira.hatenablog.jp/entry/2024/01/10/092633)にも相談し、当時は米国バンダービルト大学におられたTitze先生のもとに留学することになりました。実は、Titze先生は前述の大御所・ルフト先生のお弟子さんであり、その後はルフト先生も北田先生の実力を認めて、「ケントは素晴らしい素晴らしい」といつもおっしゃるようになりました。北田先生の口演デビューの時にボロカス言ったことは全く覚えてないとのこと(苦笑)、人生は本当に面白いものです。

写真左は留学中に耳鼻科宮下先生もご留学されておられた米国Janos Peti-Peterdi先生の家の近くへ行った時のもの、右は昨年に高血圧研究レジェンドのお二人(荻原阪大名誉教授、家森SHR学会理事長)とのワンショット

 

私が昨年10月より医学部長を拝命したこともあり、薬理学の教室運営をほとんど北田先生にお願いしています。そのような中でも大学院生を数名指導しながら上原生命記念財団やNEDOの若手ビックグラントを取られており、香大医の基礎研究分野では期待の星です。最近は遺伝子改変動物のみならず、肺魚での「夏眠」に関する研究を続けており(私のJAXAとの研究もこれに関連しています)、薬理学のみならず腎臓学会や高血圧学会でも引っ張りだことなっています。北田先生、このまま突っ走って、香大医の基礎研究やトランスレーショナル・リサーチを牽引してください!