今週は私が手掛けている3つの研究プロジェクトのうち、① JAXAとのコラボ「Osmo-adaptation」の話を続けていますが、本日で一旦最終回としたいと思います。
私はマウスの宇宙研究で得た結果をもとにして、国際宇宙ステーション (ISS) で宇宙飛行士を対象としたプロジェクトを開始できるかどうかをJAXAが判断する2年間のフィージビリティー研究(2021・2022年)に申請して無事採択されましたが、そこで大ピンチを迎えていました。それは、「2年以内に科研費以外の大型の国の競争資金を、立案する宇宙研究に関連づけて獲得すること」という基準をどうしてもクリアできなかったのです。私が出したCREST研究や北田先生のJST創発研究も不採択で、科研費とAMED以外の国の大型研究費を獲得できないままで、もうダメかと諦めていたところ、救世主が現れました。それは、現在、順天堂大学に移籍されました矢野裕一朗先生です。彼は今でさえ超有名人ですが、実は若い時から色々と一緒に研究しており、今回の私の宇宙プロジェクトでも共同研究者となっていただき、我々がターゲットとするパラメーターが実際にヒトでモニタできるかどうかについてのアドバイスをいただいておりました。その矢野先生が横浜市立大学と提案した研究プロジェクトがJST共創の場形成支援プログラム (COI-NEXT) 共創分野本格型に採択され、そのプロトコールに私の宇宙研究での検証を関連づけてくれていたのです。
写真左:左から杉浦先生(京都大学)、北岡先生(滋賀医科大学)、黒尾先生(自治医科大学)、私、北田先生(香川大学)、高橋先生(藤田医科大学)、矢野先生(順天堂大学)
写真右はJAXAのビルとロケット
デッドラインギリギリでの起死回生の一発によって何とか最後の基準をクリアでき、昨年行われたJAXAの最終審査でも実施の準備を進める承認を無事いただくことができました(この面接は超緊張しました汗)。現在、2026年以降の打ち上げによりISSに滞在する宇宙飛行士を対象とした研究の準備に早速入っております。倫理申請については香川大学倫理委員会に提出してすでに承認をいただきましたので、今後はそれをJAXA、NASA、ESA、ロシアに倫理承認を受けていく作業などを進めてまいります。
まさに、人生は山あり谷ありですよね。このプロジェクトはまだまだ達成まで時間がかかりそうですが、終わりかけていた夢がまだ覚めずに続いてくれています。これからもどんな困難が待っているのかはわかりませんが、共同研究者の仲間とともに乗り越えていきたいと考えています。
今週は私個人の研究紹介にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。来週からはまた香川大学医学部・宣伝部長として、香大医の最新トピックの紹介を続けます。月曜は、昨日行われました「香川県地区の香大医・卒業生と語る会」について報告しますので、引き続きご覧くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。