私は昨年10月に医学部長に就任する際に香大医内の防災BCPを見直すことを大きな目標とし、昨年4月よりワーキングチームを構成して作業を進めてまいりました。
https://nishiyama-akira.hatenablog.jp/entry/2024/03/11/092355
一方で、四国全体を考えた場合、香大医が災害時に積極的に実施すべきことは何なのかわかりませんでした。そこで、その答えを探し始めましたが、まだ見つかっておりません。ずいぶんと長い旅になっており、まだ旅の途中です。
私はまず香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構の吉田機構長に相談し、機構内で会議を開いていただきました。機構では災害医療についての活動はされていないとのことでしたが、四国南海トラフ地震対策戦略会議という会議があり、四国地方整備局が取りまとめて実施されていることを野本先生より教えていただきました。野本先生は四国地方整備局ご出身ですので、早速、二人で四国地方整備局に伺いましたが、「うちは取りまとめているだけなので、災害医療については資料をくれた四国厚生局にお問い合わせください」とのことでした。
そこで、野本先生と後日、四国厚生局にアポを取って伺いましたところ、「この資料は厚生労働省から直接送下りてきたもので、厚生労働省の災害担当の方は香川県が綿密に連絡をとっておられるはずなので、香川県にお問い合わせいただくのがいいのでは?」とご教示いただきました。そこで、香川県の災害医療担当の方と健康福祉部の災害担当の方と面談しましたが、「香川県の地域別での災害時の診療対応マニュアルはありますが、四国全体での活動は県ではなく国の活動となりますので、、、」というお返事でした。
三木町や四国電力などの企業、さらには善通寺の陸上自衛隊の防災担当の方とも直接面談しましたが、いまだレベル2以上の南海トラフ地震に備えて香大医・附属病院がすべきこと、そしてそれに向けて準備しておくことが見つかっておらず、未だに相談窓口を探している状況です。
これまで私は、シビアな南海トラフ地震が生じた際に香大医が四国全体で重要な役割を求められるのではないかと考えておりますが、その理由としましては、
- 南海トラフ地震では関西や東海地区も多大なる影響を受けるため、多くの専門家が四国は孤立すると予想している状況で、四国の中で一番被害が少ないと考えられるのが香川県である
- 大きな津波が来た場合、四国の空港で使用できるのは高松空港だけと想定されている
- 香川県の災害医療拠点の中で、香大医は津波や液状化現象の被害を受けにくい場所に所在しており、過去に香大医の建築物は一度も耐震で問題となったことがない
- 基本的に移動や輸送はヘリコプターか高速道路を使用した陸路となるが、香大医はヘリポートや大きなヘリコプターが使用可能な運動場・駐車場があるのみならず、高速道路と隣接している(野球場から2 mしか離れていない)
- 香大医は高台にあるため、対策本部が設置される香川県庁と問題なく無線通信ができることが、過去の訓練で確認されている
- ため池2つが隣接しており、もし決壊しなければ生活用水として使用できる
- 発電設備や原油の備蓄も県内随一である
などの理由です。
このように、医学部長に就任してから1年間、香大医が何に対してどのような準備をしておくのかについて、意見を求める相手を探して続けています。しかしその答えが全く見つかりませんので、吉田機構長に内閣府の防災担当の方を紹介していただき、2人で上京して面会して参りました。
内閣府の方はとても親身にお話を聞いてくださり、いろいろな観点からご意見をいただきました。その一つ一つは私にとっては目から鱗で、本当に多くのことを教えていただきました。具体的な内容につきましては、ここでお話しすることができないのですが、いただきましたご指導に基づき、これからさらに活動を進め、もしもの有事の際に間に合うよう、全力で取り組んで参る所存です。
写真:郷屋敷のうどんです(本文とは全く関係がありません)
P.S.
国立大学法人では運営費交付金が年々縮減されておりますため、皆様方にご支援をお願いさせていただいております。
香川大学医学部の生き残りをかけ、教職員一同が高度未来医療人の育成に邁進していく所存でございますので、何卒温かいご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。詳細は以下のホームページをご覧くださいませ。
https://www.med.kagawa-u.ac.jp/~redevelop/index.html